![]() |
BLACK-AND-WHITE / ANOTHR STORY OF THE GATCHAMAN"Whose Side Are You On ? " Story by 鷲尾 さゆり<1> 赤外線暗視機能を持つバイザーを通してもその通路の闇は濃く、ともすれば足元さえおぼつかない。わずかに枝道と思しき長方形の陰が左右に並んでいるのが見てとれた。 健達の身体に叩き込まれたマーシャル・アーツは一撃必殺の技だった。殺さなければ殺される状況下での究極の二者択一ならば、生物は常に生き残る方を選ぶ。そこには迷いも躊躇いもなかった。機械的とも思える動きで、健は同時に襲って来た2つの影を交し、蹴り上げ、確実に喉元を狙って倒していく。 ―待てよ。この感覚は味わったことがある。 ― 初めてジェット機で飛んだ日の空の蒼さ。複座の練習機で体験した恐ろしいほどのG。シュミレーターで作られたものとは全く異質の、それは圧倒的な、畏怖すべき力だった。降下し、上昇する。ただそれだけの操作がセスナ機のようにはいかない。コントロール・スティックを握る指につい力が入ったのか、機首の仰角が大きくなった。 あの時と同じように視界がどんどん狭く、暗くなる。身体はやはり動かない。 |
|
<2> ユートランド・シティ郊外の海岸近く、切り立った崖の上に建つ南部博士の別荘に健とジョー、そしてジュンの3人が呼び出されていた。 「あれ、竜と甚平は来てないのか?」 「諸君、まずこれを見てもらいたい。」 窓から振り向いた南部は、もういつもの冷静な表情を取り戻していた。 |
|
<3> ― 「アテンション・プリーズ。ドーマニア行き特別チャーター便にご搭乗のお客様、ただ今よりご搭乗の手続きを開始いたします。7番カウンターへお越しください。」― アメガポリス国際空港の出発ロビーはいつものように混雑している。その一角にある特別室で健、ジョー、ジュンの3人はISO保安局アメリス支局のエージェントから選手として入国するのに必要な物品を受け取っていた。 「南部博士に依頼された物はすべて揃えてあります。パスポートとビザ、これがユニフォームと式典用のブレザー、そしてこれがアメリス国選手団のIDです。通信機や武器の類は必要ないとのことでしたので準備していませんが、大丈夫ですか?」 「しかし選手と言っても―」 |
|
<4> 3人は手早くそれぞれの荷物に渡された物品をパッキングしていった。 そうだ。俺達はスポーツコンペティションの選手としてここへ来たんだ。先に到着していた選手団と合流して、グレン少佐に会って、それから開会式だ。ああ、あのブレザー! 「気がついた?」 (誰だ?) ―どこかで会ったことがあったっけ?― |
|
<5> 「ジョー、健から何か連絡はあったかね?」 開会式に続くレセプションが終り、宿舎に引き上げた後、健とジュンはエージェントが消息を絶った地点へ調査に出かけた。 ― 「ジョー、健が!健と連絡が取れないわ!」 ブレスレットの声からジュンの切迫した様子がはっきりと分かった。 「ジュン!」 合同庁舎ビルの裏手に駐車している車にジュンは1人でいた。 街路樹の影が後方に飛んで行く。暫くしてからジョーが言った。 しかし、翌朝になっても健からの連絡はなかった。 |
TOP / NEWS / MAIN / SOCIETY / ART / PEOPLE / CULTURE / LOCAL / GOSSIP / EDITORIAL / BBS